逆流性食道炎の方の食事でダメなもの・おすすめの食べ物は?食習慣の注意点も
逆流性食道炎は、身近な病気のひとつです。日本人の逆流性食道炎の有病率は、健康診断では平均12%、外来患者対象の研究では平均10.8%といわれています。
逆流性食道炎の治療では、薬物療法や外科治療のほかに、食事療法や生活習慣の改善も行われます。それほど日々の食事は、逆流性食道炎に影響を及ぼす可能性があるのです。
そこで今回は、逆流性食道炎になりやすい食習慣や、逆流性食道炎の方が食事で気をつけたいポイントについて解説します。
逆流性食道炎は、胃酸を含む胃の内容物が逆流することで食道に炎症が起こる病気です。健康な方でも胃の内容物の逆流は起こることがありますが、逆流性食道炎の方の場合は逆流の時間が長くなることで炎症が起こります。
胃の内容物の逆流は、胃と食道のつなぎ目にある下部食道括約筋という筋肉がゆるむことで生じます。下部食道括約筋がゆるむ原因は、加齢や衣服による締め付けなどさまざまで、食生活が影響しているケースもあります。
逆流性食道炎の主な症状は、胸焼け、呑酸(すっぱい胃酸がこみあげてくる)、げっぷ、食後のみぞおち辺りの痛みなどです。
逆流性食道炎になりやすい人の食事の特徴3つ
逆流性食道炎になりやすい人の食事には、下部食道括約筋のゆるみや胸やけなどを招きやすい特徴があります。ここでは、逆流性食道炎になりやすい人にみられる3つの食事の特徴を解説します。
【1】早食い・食べ過ぎの習慣がある
早食いや食べ過ぎは胃の内圧の上昇を招き、逆流の原因になります。また、早食いや食べすぎはげっぷの原因になる点でも注意が必要です。
早食いの方はよく噛まずに飲み込んでしまうため、食べ物と一緒に空気をたくさん飲み込む傾向があり、げっぷが出やすくなります。食べ過ぎると食道と胃のつなぎ目にある噴門が一時的に開いて胃にたまった空気を出すようにするため、げっぷが出やすくなります。噴門が開くことで逆流が起こる場合もあります。
【2】脂っこいものをよく食べる
脂っこいものを食べすぎると、げっぷを起こすコレシストキニンというホルモンが十二指腸から分泌されてしまいます。逆流性食道炎では食後のげっぷとともに胃酸が上がってきて胸やけを起こすことがあるため、脂肪の摂取にも注意が必要です。
【3】コーヒー・炭酸飲料・アルコールをよく飲む
カフェインを含む飲み物(コーヒーや緑茶など)は、下部食道括約筋をゆるめたり、胃酸を増やしたりする原因になります。1日4杯以上コーヒーを飲むと逆流を起こしやすいというデータもあるので、カフェインを含む飲み物の摂り過ぎには気をつけましょう。
また、炭酸飲料は胃を膨張させて内圧を上昇させる可能性があり、アルコールは下部食道括約筋をゆるめる原因になる可能性があります。逆流性食道炎の方は、これらの飲み物を控えるようにしましょう。
逆流性食道炎の方の食事:7つの対策
ここでは、逆流性食道炎の方におすすめの食べ物や避けたい食べ物など、食事のポイントについて解説します。
食事対策【1】消化に良いメニューを選ぶ
逆流性食道炎の方の食事メニューでは、主菜に鶏のささみや白身魚など、脂の少ない淡白なものを選びましょう。同じ理由で豆腐を使ったメニューを取り入れるのもおすすめです。
調理方法は、煮る・蒸す・ゆでるといった、できるだけ油を使わないものを選びましょう。たとえば、豆腐の卵とじや白身魚と野菜のクリーム煮などがおすすめです。
食事対策【2】胃酸の分泌を抑える食べ物を積極的に摂る
キャベツから発見されたビタミンU(キャベジン)という物質には、胃酸の過剰な分泌を抑える働きがあります。キャベツのほかにもレタスやアスパラガス、ブロッコリーなどに含まれているので、これらの食べ物を積極的に摂りましょう。
ビタミンUは、熱に弱く水に溶けやすい性質を持っているため、生で食べるか煮込み料理やスープにして汁ごと食べるのが望ましいです。
食事対策【3】胃酸の分泌を促す食べ物は控える
これらの食べ物は、胃酸の分泌を増やすおそれがあるので控えるようにしましょう。
・香辛料を使った刺激が強い食べ物(カレーなど)
・高脂肪食(揚げ物など)
・甘いもの(チョコレート、ケーキなど)
・酸味の強い食べ物(柑橘類、梅干しなど)
食事対策【4】麺類は避ける
麺類のように、すすって食べるものは空気をたくさん飲み込む原因になります。先述の通り、食べ物と一緒に空気を飲み込むとげっぷが出やすくなるので、麺類は避けるのが望ましいでしょう。
食事対策【5】腹八分目を心がけ適正体重を維持する
腹八分目を心がけて食べすぎを防げば、胃酸の逆流が抑えられる可能性があります。また、肥満の方(BMI25以上が目安)は、腹圧がかかりやすい点で逆流を招きやすいです。逆流性食道炎の方は、食べ過ぎを予防し、肥満の場合は適正体重に戻すように食生活を見直しましょう。
食事対策【6】ゆっくりと食べる
早食いを改善してゆっくり食べるようにすると、腹八分目でも満腹感を得られるようになり、満腹感を先のばしにすることにもつながります。ひとつの目安として、満腹感を得るまでには約15~20分かかるといわれています。
最初のひと口は30回噛む、ひと口ごとに箸を置くなどの工夫をすると、無理なくゆっくりと食事ができるようになります。
食事対策【7】食事と就寝時間の間隔を2~3時間以上あける
逆流は、食後の2~3時間までに起こりやすいといわれています。そのため、食事と就寝の間隔は2~3時間以上あけるようにしましょう。寝ている間は唾液分泌がないため、食べた後すぐに寝てしまうと、胃酸が長時間にわたって食道の中に残ってしまい炎症を引き起こすおそれがあります。
逆流性食道炎かもしれないと思ったときは当院へ
下記の症状が続く方は、逆流性食道炎の疑いがあるので消化器内科の受診をおすすめします。
・胸焼けがする、ゲップがよく出る
・食後に胸やみぞおち辺りが痛い
・酸っぱいものや苦いものがこみ上がってくる
・喉に何かが詰まっているような違和感がある
・喉がイガイガする
・慢性的な咳が出る
消化器内科の診察で逆流性食道炎の可能性があると診断されると、内視鏡検査が実施されます。内視鏡検査を受けると、食道粘膜の炎症の有無などを知ることが可能です。
当院では、最新の内視鏡検査を実施しております。痛みの少ない非侵襲的な方法にて検査を行い、検査後には快適な回復室でゆっくりお休みいただけます。地域のかかりつけ医として患者さんおひとりおひとりのお悩みに寄り添ってまいりますので、どうぞお気軽にご相談ください。